札幌Precious Hall 移転前ラストダンス

初めて足を運んだのがプレシャスホール10周年のとき。
北海道自体全くの初めてだった。
金曜日から日曜日までぶっ通しで続いた記憶がある。
他の場所とは全く違う空気感がそこにはあった。
Blue Herb,Kuniyukiなど注目を集め、何故彼らのようなオリジナリティあふれる音楽が出てきたのか少し理解したのを覚えている。

今では実家がある熊本についで一番参加させてもらっているのが札幌プレシャスホール。

プレシャスホールといえば、その徹底した音作りと機材への知識と使っている機材やスピーカーの配置などが語られることが多い。
確かにあれくらい音に徹底した箱は日本には他にないだろう。
独自の美意識と追求と研究とカットアンドトライから少しずつ進化している音の渦(そういまだに!)。
多くの箱は音の進化よりも、どの旬なアーティストをブッキングするかに力をそそいでいるけれど、ブックしたアーティストがその本領を発揮出来る状態であるかはわからない。
勝手に思っていることではあるけれど、プレシャスホールは、このアーティストはお金になるだろうか?ではなく、このアーティストと長く付き合っていけるだろうか?という部分が箱の姿勢に表れているような気がします。
(まあこれは勝手な予想でしかありませんが。)

そしていつも一番に語られる音や機材のこと以外にも細かい部分に気が使われています。
出来る限り長くゆっくりと音楽を楽しんでもらえるような作り。
そして誰もが手放しで安心してパーティーや音楽を楽しむことができるように!
これみよがしなオシャレな作りという訳ではないですが、細部まで気を使ってあるところが凄い!
音楽と共に記憶に残るフロアの景色。
それはミラーボールと光。
音を邪魔するノイズだらけのムービングや音にシンクロしてない全く自己満足でしかないVJなどは置いてありません。
1000人クラスの大箱であればレーザーやムービングも映えるでしょうが、普通は曲の静かな部分を邪魔しますよね。
VJに関しては音とシンクロしてこそ威力を発揮するもので、VJの自己満足や発表会になってしまえば、パーティーの満足度は多いに変わってくるはずです。
(VJの皆さんを否定している訳ではなく、シンクロしていないときの悲しさを書かせてもらってます)
そしてあって当然の面持ちで置いてある椅子。
たまには少し休憩したいときありますよね。
お酒を飲んだり友達と話したり。
それはゆっくりとフロアの外にある椅子やバーで。
よく見ると置いてあるデコが気が利いてます。風船も自然です。
フロアで携帯をいじっている人もほとんどいません。
フロアは音楽を楽しむ場所であって、携帯でレポートする場所ではないんですよね。
(泥酔者も含め、そういったパーティーの害になる人はすぐに注意されます。当然のことなのに、普通はなかなか注意されたりしないですよね)

オープン前には必ずサウンドチェックをして、パーティーの心臓とも言うべきミラーボールは必ず磨きます。
(これはあまりにも普通のと思うでしょうが、それすら全くしてないところが多いんです)
長年勤めるスタッフはそれを黙々とこなし、皆を迎え入れるのです。
何度もそれが普通だと思う人いるでしょうが、その普通が全く行なわれていない場所が多いのも事実です。
もう何年も掃除していないであろうミラーボール、汚いトイレ、30分といれない大音量でギラギラのフロア。
そんな状態で音楽を、パーティーを楽しめるでしょうか?

もし水商売と考えるのであれば、100歩譲ってそれで良いでしょう。
しかし音楽ビジネスと考えたら、肝心の音楽が中心になくてどうやって成り立つのでしょうか?
そして最後は自分たちの首を絞めていくのかもしれませんね。
まあこれは最悪の場合ですが。

つらつらと書きましたが、これもあくまでも好みの問題ですから。
しかし真面目にやっている箱もいくつかはあるということをお忘れなく。
そしてこれを見た業界関係者の皆さん、初心忘るべからずです。

と色々と書けばきりがないですね。
決してネガティブな部分だけではないです。
そうこうしている間にも素晴らしい音楽、DJ、箱、パーティー、シーン、曲が生まれていると思います。
そういった全ての良いことが長く続きますように!

そしてタイトル通り、プレシャスホールが移転の為一時クローズします。
嬉しいことか、クロージングパーティーでDJさせてもらうことになりました。
18日金曜終わり少し休み、19日土曜〜20日日曜はぶっ通しでやるそうです。
どの時間帯にプレイするかはわかりませんが、プレシャスホール、フィルモアノースでいつも頑張っているレギュラーの方々に混じって札幌以外の自分がプレイさせてもらうことに感謝です。
今の場所がフィルモアノースとしてオープンしてからずっとプレイさせてもらい、DavidのLoftを始め素晴らしいパーティーを体験させてもらった今のプレシャスホール・フィルモアノースに感謝しながら、1曲1曲プレイさせてもらいます。

ありがとう、そして次の新しい夜へ。

Kiyotaka “Calm” Fukagawa

calm