時代というものは、ときには惨い仕打ちをすることもある。
進化〜進歩というものが、全ての人たちに幸せを与えるという訳ではない。
今日一つの歴史に幕が降りた。
レコード専門店として、多くのファン、ミュージシャン、DJ、メディア、などなどを育てたと言っても過言ではないあのシスコが全店閉店してしまいました。
思えば田舎にいるときに、ピーター・バラカンさんの名物番組『ポッパーズMTV』にプレゼント提供をしていたことで、毎週シスコのマークを観ていたときから早20年以上。
東京に来てからは毎週のように新譜チェックに行き、そのうち多くの友が働くようになり、そして今ではそのシスコのグループ、サウンドスケープから自分の作品、レーベル作品をリリースしている。
これでほぼ完全に「アナログ」という一つの時代が終わろうとしている。
勿論これからもシスコの通販や、小さいけれどまだまだ頑張っているレコード屋などからレコードというものは買えるし、これからも多くのリリースがあるとは思う。
しかし一区切りとしての「アナログ」の時代は終焉を迎えたと言ってもいいだろう。
CDが登場して、これまた20余年。
「デジタル」は我々に多くの恩恵を授けてくれたのは間違いないが、その全てが本当に良かったのかどうかはいまだ疑問です。
パソコン、携帯電話、そしてデジタルの音。
自分も便利に使ってはいるけれども、多くの人たちはそれらに支配されているのではないだろうか。
多くの未来小説などに代表される、ロボットや科学技術的に意思を持ったものに、人間が支配されるというストーリーはまだまだ先の話かもしれないけれども、今もしかしたら「支配」などという「意思」がない何かに、人間自体が勝手に/無意識に支配され始めているのではないだろうか。
色々なことを考える時期でもあるのだけれども、とにかく今言えることは、
「シスコの皆さん、お疲れさまでした。そして良い音楽をありがとう!」
そして終わりがあれば始まりがあるということを信じて。