Sound for Everywhere

音楽ライターではない、全くのCalm目線/音楽愛でアルバムや楽曲を語るコーナー。
頭で理解する資料的な文章ではなく、心で、魂で感じる文章を信条としてます。

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2010.02.19 Fri

S4E-020

Gil Scott Heron

Reflections

Arista

いまだ現役!なんという人!
世の中的には黒いボブ・ディランなんていう例えもありますけど、そんな例えなどどうでもいいぐらい。

彼の作品はレアグルーヴ的に素晴らしいアルバムが多々あり、そのうちまた紹介したいと思いますが、何故かまずはこのアルバムから。
名盤/人気盤に比べると特にレアという訳ではなく簡単に手に入るんですが、このアルバムを筆頭に80年代ものも捨てたものではないんです。

自分のパーティーBound for Everywhereクラシックにもなっている"B-Movie"は必聴。
彼の持ち味の一つでもあるポエトリーリーディングスタイルから徐々にメロディアスな歌へと変化するスローファンク。
そして最後はとてつもないところに持っていかれるトリッピーなエフェクト。
ジワジワと構成が変化するから色んな意味でドラッギーかもしれません。

でも日本人には受け入れ難いグルーヴかもしれませんね。
特にもっと上げてとリクエストしてくる人には絶対受け入れてもらえないでしょうね。
しかしこういったグルーヴもあるんです。
しっかりと音に集中して乗っていけば、自然とアドレナリンが出てくるはずです。
ある意味黒さの本質の全てがここにあるかもしれません。

この頑固なまでの姿勢が現役のままでいられる理由なのかもしれませんね。

是非これを機会に色んなスローファンクもチェックしてみてください。

2010.02.10 Wed

S4E-019

Lars Jansson Trio

A Window Towards Being

Imogena

なんと美しいピアノの音色を出す人だろう。
こんな色気を感じたのはキース・ジャレット以来かもしれない。

ピアノには色んな表情がある。
なぜならピアノは、ベース、コード、リズム、ソロ、全てを奏でることができる楽器だから。
個性というよりは表情が豊なだけに、色んなタイプの人がいるんじゃないかな。

その中でもキース・ジャレットの色気は特別だ。
そして現在そのキースよりも勢力的に活動する北欧の紳士の、今のところ最高傑作と思うのがこれ。

本当に音楽って凄い。
1曲目を聴いただけで北欧の空気感が伝わってくる。
ECMのオスロ録音物に通じる透き通ったサウンドと響き。
そして美しい旋律。

勿論実験的要素も多く含まれているし、同じく勢力的に活動する北欧の巨人、ビュッケ・ウェッセルトフトにも通じるミクスチャーな曲も。

CDは簡単に手に入りますので是非。

2010.01.15 Fri

S4E-018

Ozo

Anambra

DJM

音楽に魔術があるとしたらこの曲のことかもしれない。
トリップするという言葉よりも魔術という言葉がピッタリ。

音楽には色んな要素があり、目を閉じると色んな場所へと連れていってくれると思うけれど、この曲は現世ではないどこかへ連れていってくれる不思議な曲。

デビッド・マンキューソがLoftの終盤のキーポイントのところで必ずプレイする名曲でもある。

シャーマンの祈りか、はたまた空海のお経か、そんな不思議な幻想を抱く。
それでいてねっとりとグルーヴィーで、心も身体もリセットされて次のステップへと歩みだす。

能天気でポップなレゲエチューンが多いこのバンドだけど、この曲はまさに奇跡の一曲だろう。

少し前に再発盤が出たみたいなので、以前よりは容易に手に入るかも。
探してみてはいかがでしょうか。

しかしこの曲はLoftのシステムで聴くと本当の凄さがわかります。

2009.12.07 Mon

S4E-017

Radka Toneff & Steve Dobrogosz

Fairytales

Odin

まずこのアルバムの印象を例えるならば、人がほとんど訪れることもない雪深い冬の大地に、更に新雪が積もる。
雪に音が吸収されるからとにかく静寂に包まれている。
聴こえるのは雪を踏みしめる音、そしてわずかに活動している自然の音だけ。
そんな場所で上の方に積もったパウダー状の新雪をすくい上げる。
手のひら一杯にすくい上げたその雪は(後に融けてしまうのだろうが)ギリギリのところで存在を誇示する。
美しさと柔らかさと同居するその儚さ。
融けてしまったことに対する儚さではなく、これから融けてしまうんだろうなと想像することで感じる儚さ。
そんな白い儚さがこのアルバムの全てを物語っている。

ヴォーカルのRadka Toneffはこのアルバムを最後に自らの一生に終止符を打った。
そんな決意の中制作されたのであろうか?
だからこんなに儚いのであろうか?
今となっては答えは雲の上。

しかしそんなワイドショー的なことはどうでもよい。
問題はその音楽自体だから。

歌声というものはとても神秘的だ。
ある人はその声をスピリチュアルだと言い、ある人はソウルだと言う。
そしてまたある人はパンクだと感じるかもしれないし、またある人は、、、、、。

そしてこのアルバムに欠かせないのはSteve Dobrogoszのピアノ。
主張するでもなく、下がりすぎるでもなく、とにかく最高のポジションで歌声を支える。
日本語に良い言葉がありますね、そう「良い塩梅」という感じ。
SSW的アプローチではないけれどJAZZ過ぎるアプローチでもない。
まさに「良い塩梅」。
おまけに弾き方というか弾く強さというのもベスト。
アコースティックピアノの優しい響きを熟知していたのか、それとも二人のマジックか。
(そういえば別のボーカリストとやっているのも聴いたけど、そこまでのマジックはなかったな)

良いアルバムや楽曲は、ちょっとした化学変化によって現れる。
生命誕生の奇跡と同じぐらいだと思う。

静かな中にも、全てを覆し、新しい生き方さえも発見できてしまう、この音楽にはそんな力があるはずだ。

音楽の力を信じよう。
そして新しい自分に生まれ変わろう。

2009.12.07 Mon

S4E-016

Fishmans

宇宙・日本・世田谷

Polydor

自分たちの世代にとってはまさにカリスマと言っても過言ではないのでは?
フィールドは少し違えど、今で言うところのゆらゆら帝国、Tha Blue Herbと同じカリスマ性を持ったバンドだったと思う。
志半ばでフィールドアウトしてしまったのが残念でならない。

初期のほのぼのとしたソフトレゲエバンド時代、ポップな多様性を帯びた中盤、そして1曲1曲、言葉の全てがカリスマ性を帯びていた後期とどの時期も素晴らしい。

今回は後期の大傑作アルバムを紹介させてもらいます。
紹介と言っても真の音楽ファンにとっては釈迦に説法ぐらいな感じでしょうか。
ZACさんとコラボレートし始めてからの彼らはもう「〜バンド」という肩書きが当てはまらなくなった。
確かにレゲエ〜ダブを下敷きにしているけれども、1曲1曲に力強さがみなぎっている。

よくプレイさせてもらっている「Walking in the Rhythm」のスピリチュアルでパンクでロックな深〜いグルーブは、後発のバンドがどんなに真似しようと絶対真似出来ない本物がそこにある。

ヴォーカルやその描かれた歌詞だけでなく、大注目はやはりリズム隊だろう。
ヴォーカルを引き立てるのではなく、バンド自体を引き立てる素晴らしいセクション。

こんなバンドは二度と出てこないかもしれないなぁ〜
作風やスタイルだけを真似しては駄目ですよ。
出てくる音が違っても精神的な深い部分でつながっている方がもっといいのだから。

彼らを超えるバンドがもっと出てくることを祈ってます。

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